人は「主観の牢獄」から逃れることはできない
この記事では先の見えない未来に不安を抱え、身動きが取れない人のために解決する思考方法をご紹介します。
増殖する失望最小化戦略の人たち
今の日本には2つのグループがいるような気がします。
「失望最小化」戦略を取るグループ、「希望最大化」戦略を取るグループです。
失望最小化戦略・・・動かない人/挑戦しない人
将来には必ず失望が待っているそう考えるのがこのグループです。転職をしても待遇が良くなるかわからないけど、このまま我慢する。どうせ損するから投資はしない。
どうせ世の中は悪くなると、新しいことにチャレンジしないのが「失望最小化」戦略の考えです。失望最小化戦略は、変化を嫌い、動こうとしません。
希望最大化戦略・・・動く人/挑戦する人
将来は明るい挑戦した方が喜びは大きくなる。 そう考えているのがこのグループです。
自分を成長させるためそして社会に貢献するため自分にできる事は積極的に取り込もうと考えます。変化を望み自ら進んで動こうとします。
でも、こうした考えを持つ人に対して、「イタイ人」「意識高い系」と揶揄する人が多いのが今の日本です。「失望最小化」戦略の人は嫉妬に取り付かれていて自分の水準まで他人を引きずり下ろそうとしています。
動かない人は転職をせず地域を離れず、狭い交友関係の中で息を潜めていて、買い物する場所も変わり映えがしません。投資も消費も消極的で節約が大好き怖いから動かない。動かないから視野が広がらない。視野が広がらないからチャンスに気がつかない。現場の不満を自分の責任ではなく世の中のせいにしています。
ではなぜ動けないのでしょうか。
それは先の見えない未来が不安だからではないでしょうか。未来に失望しか抱けないことで動く勇気を持てず立ちすくんでいるようにも見えます。
人は「主観の牢獄」から逃れることはできない
自分の主観や偏見を含まない意見はありません。私たちは主観の牢獄にとらわれていて、残念ながら、そこから逃れることができません。すべての意見は主観であり偏見です。観察者の性別、年齢、職種、立場、環境、教育、関心、DNAなどに左右されます。
アメリカのミシガン大学、リチャード・ニスベッド特別教授と、カナダのアルバータ大学の増田貴彦准教授は、1枚のイラストを使った共同実験を行っています。
イラストには出水中の様子が描かれていて、大きな魚が3匹、小さな魚が2匹泳いでいます。その他、カタツムリやカエルの姿も見えます。
このイラストを見て何の絵だと思いますか?
読み進む前に考えてみてください。
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このイラストを見た日本人被験者たちのほとんどは、イラストを湖もしくは池と答え、対照的にアメリカ人被験者の多くは3匹の大きな魚と表現したそうです。
日本人はイラストの全体を捉え、アメリカ人はイラストの中でも最も際立っている魚のみに注目しているわけです。
文化が違えば、同じ絵を見ても、とらえ方が変わる良い例です。
研究者たちは「日本人は全体を重視し、アメリカ人は神を重視する傾向がある。両者に顕著な違いが見られたのは、文化的背景が大きい」と考えています。
人間は「自分が正しい」と言う前提で主張しがちですが、部分を見ているだけでは、全体を正しく評価することができません。
客観的な視点は存在しないと心得る
私たちは選択的に情報を得ていて、関心がある事しか見えていません。同じ風景を見ていても、脳内の風景は全く違うのです。
物事を観察しているときは、見えている景色は人それぞれ違うこと、自分が見えている景色とは別の景色があることを常に意識することが大切です。
物事を複合的かつ立体的に見る
誰もが皆、生まれてから現在までの経験に基づいた考え方をしています。その人がしてきた経験によって、物の見え方はどうしても左右されてしまいます。過去の経験が今の自分を作っていますから、過去の経験をもとにした考え方しかできません。であれば、物の見え方を変えるには、変に見方を変えようとするのではなく、経験の方が変えてしまえばいいのです。
では経験とは、一体何からできているのでしょうか?
経験のほとんどは、食べたものと会った人と読んだ本によって形成されていると私は思います。
インプットを意識的に変えてみる
右、左、中間のどれか1点に立って物事を見ても、それは1つの視点でしかありません。1つの視点で見ているうちは、物事の本質は理解できないでしょう。
もっと視点の数を増やして、右からも左からも、上からも下からも斜めからも観察をして、物事を立体的に捉えることが大切です。
これまでの人生の中で自分がしてきた経験を、捨て去ることができません。
ですが別の経験をインプットすることができます。たくさんの経験を積み、経験値が上がれば上がるほど、思考の幅を広げることができるはずです。新しい経験を自分の中に取り入れることができれば、新しい視点で物事を捉えるようになるでしょう。