中高年の動物性タンパク質摂取は癌リスクになる
高タンパク食を好む中高年(50~65歳)は、癌(がん)で死亡するリスクが4倍、死亡率も75%高まるという研究結果が発表された。 研究を率いた南カリフォルニア大学のバルター・ロンゴ(Valter Longo)氏は、高タンパク食のリスクは喫煙 と同程度と警告している。
参考のため、高タンパク食と低タンパク食の定義
高タンパク食は、摂取カロリーの20%以上をタンパク質が占めている状態です。普通は10~20%、10%以下が 低タンパクです
今回はタンパク質について深堀していきます。
動物性タンパク質ががんの成長を促進する
タンパク質とはどのような食べ物のことを指すと思いますか。
おそらくほうれん草やケールは思い浮かばないでしょう。
しかし、
これらの植物には牛ロースよりもカロリーあたり【約2倍】のタンパク質が含まれています。
大部分の人にとってタンパク質と言えば肉、ミルク、卵です。
私たちがタンパク質に恋してから、もうずいぶん時間が経過しています。
タンパク質と言う言葉自体見ても私たちがどれだけタンパク質を崇めているかが分かります。
たんぱく質とは?
たんぱく質とはアミノ酸が多数結合した高分子化合物で、
筋肉や臓器など体を構成する要素として非常に重要なものです。
また、アミノ酸の組み合わせや種類、量などの違いによって形状や働きが異なり、酵素やホルモン、免疫物質としてさまざまな機能を担っています。
たんぱく質の構成
たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されています。
アミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、
リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンの9種類は、体内で必要量を合成できないため、食事から摂取する必要があります。
これらのアミノ酸を必須アミノ酸といいます。
体内で合成できる、非必須アミノ酸はグリシン、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、チロシン、システイン、アルギニン、プロリンの11種類です。
- バリン、ロイシン、イソロイシン
- スレオニン、メチオニン、リジン
- フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン
ちなみにBCAAとは、運動時の筋肉でエネルギー源となる必須アミノ酸である、バリン、ロイシン、イソロイシンの総称です。運動後に摂ると筋肉の回復に役立ちます。
- グリシン、アラニン、グルタミン酸、グルタミン
- セリン、アスパラギン酸、アスパラギン
- チロシン、システイン、アルギニン、プロリン
たんぱく質の1日の摂取基準量
日本人の食事摂取基準によると、1日に必要なたんぱく質は摂取エネルギーの【13~20%】が理想とされており、推奨量は、成人男性は1日60g、成人女性は1日50gとなっています。
たんぱく質を多く含む食品【肉類・魚介類・卵類・乳類など動物性の食品】
たんぱく質は、肉類・魚介類・卵類・乳類など動物性の食品のほか、
豆類・穀類など植物性食品に多く含まれています。
一般的に、動物性食品に含まれるたんぱく質の方が、アミノ酸スコアの高い良質のたんぱく質が多いですが、特定の食品に偏らないように、それぞれのたんぱく質をバランスよく食べるようにしましょう。
タンパク質の語源について
タンパク質を意味するプロテイン【protein】の語源はギリシャ語で【1番重要な】と言う意味の【proteios】と言う単語です。
そして
本当に良質のタイプとされるたんぱく質は、動物の食物に含まれていると言われてきました。
ヨハンネス・ムルデル氏が1839年にタンパク質を発見した後ほどなくして、有名な科学者ユストゥス・フォン・リービッヒが高品質の動物性タンパク質について命そのものだとまで強い主張をしてこれに続きました。
すなわち
私たちの体はそれ自体が動物性タンパク質で植物性たんぱく質よりもずっと効率的に動物性たんぱく質を代謝することができると考えました。
実際は違います。
タンパク質の量を変えるだけでがんの成長をオンオフに切り変える
1983年コーネル大学の研究でラットが消費するタンパク質量を変えるだけで初期のがんの成長のオンオフを切り替えることが示されました。
もっとも重大な発がん物質は、ラットの餌の【20%】にして与えられたときに必ずと言っていいほどがんを発生させた物質、カゼイン【タンパク質】でした。
これは牛乳に含まれる動物性タンパク質です。
大豆や小麦などに含まれる植物性タンパク質は、発がんに何の影響も及ぼしませんでした。
それは【高濃度】であっても同じ。
驚きはこれだけではありません。
低タンパク質食を与えることでがんを比較的長期にわたりオフにしたり、高たんぱく質食に切り替えることで再びオンにすることができたのです。
その効果は衝撃的です。
オンに切り替えられるとがんは勢いよく成長。
オフにすると完全に止まりました。
オンにしたりオフにしたりして、がんの成長を大きく変える引き金となるものはたんぱく質の摂取量の【ほんのわずかな変化】だったのです。
実験の過程でこれまでの発見が期待以上にはっきり裏付けられることになりました。
動物性タンパク質摂取の方が、科学的な発がん物質の投与よりもずっと発生の決定を左右していたのです。
T・コリン・キャンベル氏の研究でわかった
極めて強い発がん効果は、人が日常的に摂取しているレベルの動物性たんぱく質で起きたことであり、しかも世間ではそれを摂取することが推奨されているのです。